十二国記について語りたい!

十二国記のネタバレ感想・展開予想・愛を叫びます

風の海 迷宮の岸(2)

第一章

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〈あらすじ〉

泰麒を守る女怪である白汕子は蓬山で孵った。しかし、泰麒の誕生を待ち焦がれる蓬山を蝕が襲い、泰果は虚海の彼方へと流されてしまう。

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話の流れがわかるように本文を切り出そうと思うと、ものすごい分量になってしまう気がするので、気になるところだけバッバッと取り出して書いていきます。

"彼女は卵のかけらをしばらく見やって、次いで視線を上げた。目の前には白い枝。白銀(しろがね)でできたかのような枝は頭上に伸びて、はるか上空で堅牢な岩盤に吸い込まれている。"

汕子誕生。読み返して初めて気づいたけど、女怪はどうやら捨身木の根に実る。

そして、きました!泰麒関連で「白銀」という単語がどこで使われているかをチェックしようと思っていたら、こんなに早く!…単なる色の描写かもしれないけど、続編タイトルと関連付けて考えたくなってしまう。"白銀のおか"って、蓬山??

 

"老婆は立ち上がった彼女の、胸のあたりまでしか背丈がない。"

そう、汕子は大きい。馬くらい?女で、首は魚、上体は人、下は豹、尾は蜥蜴の生き物なんて、そりゃ日本に現れたらホラーになる。発売当時、リアルタイムで読んでいた人は、このあたりで『魔性の子』のサンシだと気づいて驚いたんだろうか。

 

"苔むした岩盤の上、空を背景にのびやかに枝を張った木の、白い白い枝には金の果実がひとつ実っている。"

泰果がみのっている様を描いているが、白い枝に金の果実がなる様子は、どことなく「白銀の墟 玄の月」を連想させる。白銀の墟はともかく、玄の月は泰麒で間違いないと思う。驍宗を支え、戴を静かに照らす月である黒麒麟。白銀の墟はもちろん驍宗だと思っていたのだけれど(表紙イラストもそうだし)、"天"との関係や蓬山が中心となる物語なら、蓬山を象徴するワード、と捉えることもできるのかも…。

 

"中央の高い山を崇高、周囲四方に連なる山をそれぞれ蓬山、華山、霍山、恒山と呼ぶ。蓬山は旧(ふる)くを泰山といったが、凶事あるたびに改名して、ここ千年ばかりは蓬山と呼び習わしている。"

"五山は西王母の山と言い、蓬山は王夫人の山だと言う。残る四山の主人は諸説あってさだかではない。その真偽はともあれ、いずれにしても五山は女神・女仙の土地だった。"

黄海という厳しい場所が女神の地というのは、少し意外。神々の住まう場所として象徴的に描かれるのは五山が主だと思うけど、男の神様はどこにいるんだろう。あと、西王母は「山海経」などに登場するけれども、王夫人は三国志あたりのチョイ役だと思うので、なんだかこう並んで登場すると不思議な感じ。

 

"彼女は女仙のひとりだった。十八、九の娘に見えるが、女仙の外見を信用してはならない。いかなるいきさつでいつごろ昇仙したのか、彼女自身ももはや覚えていない。"

女仙禎衛について。蓉可と話すときの口ぶりや、毅然とした態度から、四、五十台の女性を想像してた。玉葉が「老婆」と表現されているけど、いかに玉葉と他の女仙の立場が離れているかを実感する。ひとりだけ、圧倒的に神に近い存在なんだろうな。

 

"蓬山にはいま若い麒麟がいるが、蓉可はあまりに新参なのでその麒麟にかかわることを許されなかった。"

この麒麟、誰だ?景麒??(よかったらコメントください)

 

そして、玄君登場。

"歳の頃はわからない。若いようでもあり、すでに中年を越えているようでもあった。"

…これがよくわからない。冒頭で汕子に名前を与えていた「老婆」は、玄君ではなかったのか?

"「ときに、戴の女怪が孵ったとか」"

"「名は?」「汕子、と」"

このセリフからも、明らかにこのときが初対面。あの老婆は玄君じゃないか…。

もしかして、王夫人?え、王夫人、女怪の誕生に立ち会うの??

 

"この世の外を蓬莱といい、崑崙といった。一方は世界の果てに、もう一方は世界のかげに位置すると伝えられる。"

崑崙は、世界のかげにあったのか…てっきり、西の果てかと。

 

汕子、号泣回。老婆の謎…他のヒントも探そう。