十二国記について語りたい!

十二国記のネタバレ感想・展開予想・愛を叫びます

風の海 迷宮の岸(3)

第二章

蓬山に、祭りの季節がきますぞえ!

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泰麒が流されて十年。ようやく、蓬莱から泰麒が帰ってきた。止まっていた蓬山の時間が、主人を迎えて動き出す。

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"「延台輔はしばしば虚海を渡っている様子。見つけてくださるなら延台輔であろうと思うたが、やはりそうじゃったの」

 麒麟がしばしば遠出をするのは誉められたことではないが、この先つよく咎めるわけにもいかないだろう。"

おてんば延麒。今後はさらに自由に遊びに行くようで。

 

"ーー泰麒。

なにを誤っても、あの光が泰麒か否かを誤ったりはしない。"

このセリフ、魔性の子を知る読者にとっては重い。泰麒のことしか考えられず、真実が見えなくなり、泰麒に汚れを負わせてしまった女怪。彼女がのちに犯してしまう、大きな過ちを思うと辛い。

 

"自分はもらわれてきた子だったから、祖母に嫌われ母の迷惑になっていたのだ。木の実から生まれたので、どうしても祖母や両親が喜ぶようにふるまうことができなかったのだ。"

泰麒の涙の理由。

"彼がもう少しがんばれば、なにもかにもがうまくいって、誰も怒ったり泣いたりせずにいられたのではないかと思えるのに。"

この感情は、陽子が王になることを決意しようというときの感情に近い。けれども、

"それは郷愁ではなく、愛惜だった。彼はすでに、別離を受け入れてしまっていた。"

これは陽子と決定的に違うところ。王のように成長してから選ばれるものではなくて、麒麟という王のために生きることが定められたいきものだからか。”こちら”との結びつきが、ひとよりも強い。

 

泰麒、今晩はたくさん泣きます。