十二国記について語りたい!

十二国記のネタバレ感想・展開予想・愛を叫びます

月の影 影の海(8)

第八章

 

〜お詫び〜

前回の更新から長く日が空いてしまい、申し訳ありません。

前回の更新時は学生だった私も、就職などの人生の転機を迎えて生活が変化しました。

しばらくは慌ただしい日々を送っていましたが、ようやく少し落ち着き。

ぼちぼち再開していこうと思います。

新作発売に間に合いますように(…間に合うか???)

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〈あらすじ〉

  玄英宮に滞在する陽子は、楽俊やジョウユウに背中を押され、悩み苦しみながらも王の座に就くことを選ぶ。延王に軍を借り景麒を取り戻した陽子は、改めて景麒と主従の契約を交わし、王としての新たな人生を歩み始める。

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書きながら展開を思い出していく感じ。不安定な文章が続きますがご容赦を。

 

延に王宮に招かれた陽子が、与えられた部屋に入る場面から。

"所在なくて陽子は大きな窓を開ける。フランス窓は床から天井までの高さがある。"

テーブル、グラス、カーテン、テラスときて、「フランス窓」。こういう陽子寄り(日本に住む我々寄り)の表現が、この物語を読みやすくしている大きな理由だろうな。あちらの世界に迷い込んだ陽子と同じスピードで、あちらの世界に慣れていく感じ。

 

"窓を開けると潮の匂いが通った"

こういうさわやかな潮の匂いは珍しい。自分の背負っているものの大きさに怖気づく陽子が、目の前の景色が知っている「雲海」とは別物であることを感じ取る一方で、爽やかに前進していくようなイメージが漂う。

 

陽子に王になってほしい楽俊と、王になりたくない陽子の会話がしばらく続く。

"王は麒麟に選ばれるまではただの人だ。"

楽俊のセリフなのでどう捉えるかは考えどころなんだけど。人が王になる瞬間はいつなのか問題は、根が深そう。このセリフは微妙に事実と異なるとは思う。麒麟に見つけられ、かつその時に王たる資格を行動で示すことのできていれば、王なのかな。うーん…。

 

以下、六太のセリフ。

"が起これば災害になる。麒麟だけならちょっと風が吹く程度だけど、王が一緒だとなると大災害になる。あちらにだって被害は出るんだからな"

麒麟だけなら風が吹くだけというのは、倭にしょっちゅう遊びに行ってる六太ならよくご存知。王が一緒だとどうなるかというのは、六太が尚隆と契約を結んで連れてくる時に理解したのだろう。

 

そして、これまた黄昏に繋がる重要場面。

覿面の罪に関する情報と、何より尚隆と延麒が泰麒の話をするときの微妙な態度の描写。

"これだけは覚えておけ。王には決して犯してはならぬ罪が三つある。一つは、天命に逆らって仁道に悖ること、いま一つは天命を容れずに自ら死を選ぶこと。そうして最後の一つが、たとえ内乱を治める為であろうと、他国に侵入すること"

約五百年の歳月の中で、二人が協力してこの世界を生き抜く術を見出してきたこと、そしてそれだけの歳月を強く生きてきたものの冷徹さも感じる。

 

"しかしながらあのときの陽子は、まだケイキに会っていなかったし、契約も交わしてはいなかった。それでも剣は陽子を主人だと知っていたのだ。"

"天命が先か、選定が先か。"

"陽子は天命を担って生まれてきたのだろうか。それとも、景麒が選んだから玉座を背負う破目になったのだろうか。"

結構しっかり提示されてました。この問題。

陽子を中心に考えるとさらにわけわからなくなる、この問題。

 

楽俊の次の言葉に、ヒントがあるような気はしている。

"いまこの地上に陽子以上に景王に向いた人間はいねえ。天意は民意だ。いまこの地上に、陽子以上に慶国の民を幸せにできる王はいねえってことなんだ。"

唯一ではなくて、あくまでもベストな人間ってことかね。

 

"これが陽子にとっての、物語の始まりである。"

陽子にとっての物語は、いつの間にか尚隆や延麒を巻き込み、泰王と泰麒の物語にもなった。どのような形で語り終えるのか。想像すると少し胸が苦しいのは、読んでくれている皆さんもでしょうか。